たまひの蝸牛…

クラシックの演奏の感想中心に記載しています。良い悪いではなく好き嫌いでの評価ですので参考にならなかったらすみません

フローラン・シュミット サロメの悲劇(組曲):マルティノン / フランス国立放送管(1972)

シュミット:サロメの悲劇 他

演奏 ジャン・マルティノン / フランス国立放送局管弦楽団
(Jean Martinon / Orchestre philharmonique de Radio France)
録音 Erato / 1972 / Stereo
演奏時間 9:01 3:56 9:46 3:23 1:28 合計: 27:24


もう一人のシュミットの色彩感豊かなサロメ

先日フランツ・シュミット記載しましたが、もう一人のシュミットのフローラン・シュミット(1870/9/28 - 1958/8/17)の、サロメの悲劇です。
シュミットのフローラン・シュミットは、ドイツ系フランス人で、フランツより少し年上で、かなり長生きされていて、1958年まで存命でした。
吹奏楽されていた方には、「ディオニソスの祭り」を作曲した人として馴染みがあるかと思います。
フランツ・シュミットの後期ロマンはガチガチな感じではなく、ドイツ系とはいえフランス人なので、やはりフランス系らしく色彩感豊かな曲調かと思います。

サロメの悲劇は元々バレエ曲となっており、こちらのアルバムは抜粋の組曲版となります。

  1. Prélude 序曲
  2. Danse des Perles 真珠の踊り
  3. Les Enchantements sur la mer 海上の誘惑
  4. Danse des éclairs 稲妻の踊り
  5. Danse de l’effroi 恐怖の踊り

序曲、木管が良い感じで盛り上がりも気持ち良く、テンションあがります。

真珠の踊り、なかなか激しくてハイテンション、途中の弦はやっと踊りって感じw

海上の誘惑、のそーとクラリネット?が奏でて弦が反応し、波っぽい表現?上下の音程が度々でてきて海のかんじを表現ですね。中間で盛り上がり激しくなります。嵐かな?後半でヴォーカリーズが出てきます。ニストレムもアルヴェーンも海の交響曲は声楽使いますが、そういうイメージなのかな?

稲妻の踊り、稲妻の通り冒頭から激しくシンバル鳴りまくりw、最後はファンファーレ

恐怖の踊り、前のファンファーレから切れ目なく、相変わらず激しい。恐怖という事でおどろおどろしくチューバが活躍。ずーっと激しいままフィニッシュ。

かましいという曲の感想もありますが、賑やかで良いと思います。
マルティノンらしく、音に張りがあって色彩感メリハリもあり文句ないできかと。

評価

評 価 ★★☆ 賑やかで派手で良い
レア度 ☆☆☆ 中古でもまだまだ手に入りますね

フランツ・シュミット 交響曲第2番 : ヤルヴィ / シカゴ響(1989L)

Schmidt: Complete Symphonies No.1 - 4

演奏 ネーメ・ヤルヴィ / シカゴ交響楽団
(Neeme Järvi / Chicago Symphony Orchestra)
録音 Chandos / 1989Ⓛ / Stereo
演奏時間 14:39 19:09 13:09 合計: 46:57


パパヤルヴィらしい、豪快な演奏

フランツ・シュミット(1874/12/22 - 1939/2/11)は、オーストリアの作曲家で、シェーンベルクと同い年ですね。
後期ロマン派な曲調で、シェーンベルクとは真逆な感じです。
ドイツ系フランス人で同じくシュミットがいますが、こちらはフローラン・シュミット。同じシュミットでも綴りが違います、フランツのシュミット= schmidt / フローランのシュミット = schmitt

交響曲第2番は、1913年に作曲され、3楽章の交響曲で、第2楽章が変奏曲となっています。大編成で(ホルン8本!)ですが、マーラーほど長大ではなく、50分弱の曲となっています。

第1楽章、あかるい序奏でカラフルな感じが終わると、ブラスがバリバリと主題かなでますが、初っ端からシカゴ響のパワー炸裂!
第2主題はちょっとしっとりな感じ、ブラスがバリバリいう所ではブルックナーっぽいフレーズが聴こえたり。煩い?のと静かのと繰り返して進みます。パパヤルヴィは強弱緩急が相変わらず上手いですね。
第2楽章、変奏曲です。最初に木管が奏でた後弦に移りと色々な楽器に渡ります。にぎやかになるところもありますが、全体的にはしっとりとした楽曲で綺麗な箇所もあり、なかなか良いです。
第3楽章、寂しげな木管ではじまり、バロック音楽みたいに進んでいき次第に明るくなって盛り上がりますが、その後は無挙動な感じになり最後またブラスがバリバリと盛り上がって続けて終わります。

シカゴ響のブラス群大活躍な曲と演奏。ヤルヴィは鳴らすところは思いっきり鳴らすので気持ち良いです。
この作曲家ももっと聴かれても良いのにな〜ちょっととっつきにくい箇所ありますが、中間なんか綺麗だし。

評価

評 価 ★★☆ ブラスがバリバリ気持ち良い
レア度 ☆☆☆ Chandos なので問題なく買えます

ロット 交響曲第1番:ヴァイグレ / ミュンヘン放送管(2003)

ロット:交響曲第1番

演奏 セバスティアン・ヴァイグレ / ミュンヘン放送管弦楽団
(Sebastian Weigle / Münchner Rundfunkorchester)
録音 Arte Nova / 2003 / Stereo
演奏時間 9.28 11:19 12:20 22:38 合計: 55:45


マーラーの同級生ロットによる交響曲第1番

ハンス・ロット(1858 / 8 / 1 - 1884 / 6 /25)の交響曲第1番です。
ロットは、マーラーの同級生であり、ブルックナーの教え子だったそうで、ブルックナーは高く評価していた様ですね。
ブラームスに酷評され精神を病んだ末、結核により25歳という若さで夭逝したとのこと。

この曲は学生時代に書き始められた楽曲との事ですが、規模といい作風といい学生の仕事には思えないレベルかと思います。*1

そこかしこにマーラーの楽曲を先取りしたような箇所がありますが、ロットの方が先ですので、むしろマーラーの方が模倣したのでしょうね。
第4楽章は、ブルックナー的でもあり、このまま長生きして作曲を続けていたら、ブルックナーマーラーの橋渡し的な作風になったのでは?と思われます。

第1楽章、冒頭のトランペット?のメロディーからなかなかキャッチーです。展開部は結構盛り上がりますが、基本穏やかな曲調ですね。最後また盛り上がりますが、なかなか感動的です。
第2楽章、木菅が綺麗なゆったりとして楽章で金菅のコラールも良いですね〜弦主体のところも綺麗でもちょっと長いかな…
第3楽章、マーラーっぽいスケルツォですね。出だしからマーラーレントラーっぽいです(こっちがオリジナル?)、これもちょっと長い気が…
第4楽章、22分近くある楽章、最初先の楽章を振り返りみたいな感じで進んでいき、一度盛り上がって静かになると、ブラームス交響曲第1番の第4楽章に似たメロディーが出てきて繰り返されます。だんだん盛り上がって終わります。

ヴァイグレの指揮は丁寧で曲を知るには良いですが、ちょっと間延びした感じに聴こえちゃいますね。
ネーメ・ヤルヴィが演奏してくれれば…と思ったら海外のサイトで公開されていました。

ありゃりゃ、全てにおいてパパヤルヴィの方が良いです!全体で50分台で5分近く演奏時間が短くて、ぎゅっとしまっていてだれずに、緩急が上手くてとても聴きやすくなっています。

ネーメヤルヴィのCDでないかな…

評価

評 価 ★☆☆ マーラーブルックナー好きなら◯、ヤルヴィ盤なら★1つ追加w
レア度 ☆☆☆ 中古でも沢山

*1:完成した交響曲第1番をブラームスに見せて演奏を掛け合ったが失敗、ブラームスは、ロットに対し、「どうせ才能は無いのだから、音楽を諦めるべきだ」 と言ったとか言わないとか?、本当ならホンマにブラームスは要らん事しますな

シューマン 交響曲第3番 ライン:シューリヒト / シュトゥットガルト放送響(1960)

シューマン:交響曲第3番

演奏 カール・シューリヒト / シュトゥットガルト放送交響楽団
(Carl Adolph Schuricht / Stuttgart Radio Symphony Orchestra)
録音 DENON / 1960 / Stereo
演奏時間 8:11 5:36 5:11 4:42 5:39 合計: 29:19


キレがあるのにコクがある、シューリヒトのライン

シューリヒト指揮のシューマンのラインです。こちらも最近手に入れたCDです。
シューマンは一番好きな作曲家ですが、ラインに関してはドンピシャくる演奏がなくて探していたのですが、シューリヒト良いです!

尚、この演奏には、かなりスコアの改変があります。
マーラー版と共通する箇所もあるようですが、シューリヒト独自の改変も多い様です。
この時点で、改変なんてもっての外!という聞き手の方にはお勧めできないです。
わたしは編曲物や異稿が版が好きなので、全く問題ないです。

冒頭から軽快に早めのテンポでの演奏。随所で濃淡、テンポの上げ下げが決まっていて、速くて軽快なので濃厚さでも不足のないような不思議な感覚に陥ります。

正に、キレがあるのにコクがある相反する状態

第2楽章は、少しテンポを落とし密やかで静かな表現
第3楽章は、森をさまようような、穏やか、木管が良い
第4楽章は、不穏な空気感。凄みがあるというか緊迫感があります。ファンファーレは突然霧を払うような神々しいイメージ
第5楽章は、一転非常に楽しげ

シューリヒトは晩年、コンサートホールレーベルにステレオ録音してくれたおかげで、この演奏も一応ステレオで聴けます。
あまり録音は良くないですが、ステレオで聴けるだけでもありがたい。
オケは素人の私の耳でも荒れている様に聴こえます。

Scribendum が音良さそうですが、BOXなんですよね。悩ましい。

評価

評 価 ★★★ 軽やかで、陰影のある不思議な演奏
レア度 ☆☆☆ DENONなら沢山中古ありますね

ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より : ベーム / ウィーンフィル(1978L)

ベーム ドヴォルザーク交響曲第9番 新世界より

演奏 カール・ベーム / ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(Karl Böhm / Vienna Philharmonic Orchestra)
録音 ANF / 1978Ⓛ / Stereo
演奏時間 9:10 11:55 7:49 11:17 合計: 40:11


ベームの別人のような新世界よりライブ

最近手に入れたCDのご紹介。
ベーム指揮、ウィーンフィルドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より です。

1978ザルツブルグ音楽祭のライブとのこと。ベームは同年DGでスタジオ録音していますが、これが全然違っていて面白いですね。

巷での評価も真っ二つに分かれていて、面白いです。*1

ベームはあまり縁のない指揮者ですが、このライブはとても良いです。
スピーディーでライブならではの緊張感があり音に張りがあります。

スタジオ 9:56 / 13:28 / 8:33 / 12:04
ライブ 9:10 / 11:55 / 7:49 / 11:17
参考(マゼール)11:24 / 10:36 / 7:10 / 10:04

ボヘミアっぽいローカルな感じは薄いですが、素朴な感じで伸びやかでオケの音がとても良くてうっとりしちゃいます。
第2楽章はゆったりめですが、密やかで暖かい夕暮れの田園風景をみているよう。
第3楽章も、田舎ぽい感じは皆無ですが、体感的にスピーディーでメリハリがあります。
第4楽章も早めのテンポで畳み掛けてぐいぐい。時折のぞく木管が◯
ウィーンフィルはライブでも乱れず音色が魅力的ですね〜

というわけで、偶然手に入ったベームのライブですが、めちゃくちゃよかったです。やっぱりベームはライブの人なんですね。

評価

評 価 ★★★ ベーム見直しました、オケの音色も素晴らしく良いです
レア度 ☆☆☆ 稀にメルカリやヤフオクにでていますね

*1:つくづく演奏の評価って個人の好みがモロに反映されていますね