擬似ステレオ化で結構アクセス頂いている様なので、古いモノラル録音を、フリーソフトで擬似ステレオ化する手順を解説したいと思います。
使用ソフト
Mac / Windowsどちらにも対応した、Audacityを使います。
色々バージョンが出ていますが、私は 3.1.3 を使っていますのでそちらで説明いたします。
ダウンロードは下記から入手可能です。
www.audacityteam.org
今回はwavファイルで説明しますので、何もしなくても Audacity で読み込めますが、mp3やaac、m4a等は追加でffmpeg等を入れないと読めない可能性がありますが、今回は割愛します。
擬似ステレオの理屈
通常の人の聞こえ方
通常人は左右の耳で音を聞いていますが、同じ音を聞いていても、左右の耳に音が届くのが微妙にずれたり、周りの環境*1によって、音の大きさや音色も微妙に変わって届きます。
これによって、音が出ている箇所の距離感や位置を知覚している訳です。
モノラルの場合
モノラル録音は、本元は1本のマイクで録音している音源ですので、左右2本スピーカーがあっても、全く同じ音が出ている状態となります。
この場合、左右の耳には全く同じ音が届きますので、広がりの無いモコモコした音に聞こえます。
擬似ステレオの理屈
スピーカーから出る音を左右で微妙に異なる音にすれば、人間の知覚が騙されて、少し広がりがある様な感じに聞こえるようになります。
加工前のファイル
加工のサンプルとして著作権切れのクラシックから、クラウス指揮のラデツキ行進曲を使って擬似ステレオ化してみます。
www.youtube.com
たまひ②さんに動画編集してもらいました。
擬似ステレオ化、超絶シンプル版
という事で、超絶シンプルな方法での擬似ステレオ化の方法を説明します。
操作手順
- Audacity を起動しファイルを読み込みます。
- モノラル音声の場合はトラックが1本なのでコピペして2本にします。
ステレオ音声の場合は左右のトラックを分離して別々のトラックにします。
- コピーしたトラックをそれぞれ、左(L)、右(R)に変更します。
- +ボタンを何回か押して表示を拡大し、トラックの先頭に移動
- 片方のトラックを全選択して、後ろ(右)にずらします。ずらす量は20〜50ms程度で、再生して試しながらお好みで。これだけで、もこもこした音声が微妙に広がった感じが出てきます。
- お好みで残響を付加しても良いかも?
トラックを全選択した状態で、エフェクトメニューからリバーブを選択すると色々効果が付加できます。お好みで調整して下さい。
- ファイルメニューから書き出しを選択して、任意のフォーマットで書き出して完了です。
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たまひ②さんに動画編集してもらいました。
擬似ステレオ化、プラグイン利用版
方法2はプラグインを利用した方法です。Audacityにはプラグインという形で色々とエフェクトなどが追加できまして、モノラル音声を擬似的にステレオ化するプラグインもいくつかでています。
その中で、私は Stereo Simulator というVSTプラグインを使っています。
sourceforge.net
操作手順
- プラグインインストール、mda VST plug-ins download | SourceForge.net からインストーラーをダウンロード
- ダウンロードしたファイルを開き、プラグインをインストール
- Audacityを起動してプラグインを有効にする。
エフェクトメニューの「プラグインの追加削除」を選択すると、一覧が出てくるので、「Stereo Simulator」が無効だったら有効化する。
- ファイルを読み込み2トラックにするまでは、シンプル版と同じ手順
- トラックを全て選択状態にして、エフェクトメニューから有効化した「Stereo Simulator」を選択
設定画面がでるので聴きながら色々調整して適用してください。
- 効果が決まったら適用ボタンでトラックに反映
- ファイルメニューから書き出しを選択して、任意のフォーマットで書き出して完了です。
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たまひ②さんに動画編集してもらいました。
擬似ステレオ化、もっと複雑版
左右で一部の音域だけ位相ずらしたり、より自然になるような操作は、参考にしたブログにて細かく手順が記載されておりますので、そちらを参照くださいー
r1rawd.cocolog-nifty.com
Audacityは色々と音の加工ができて便利なので、色々お試しあれ!
*1:壁や障害物など